賢志のブログ

丸野賢志詩集

アンネの日記-7

「アンネの日記」-1942年7月8日水曜日~11日土曜日「隠れ家へ」
  この頃になると、黄色い星マーク(ユダヤ人・ユダヤ系移民に付けられた布製のバッジ)をつけられ、ユダヤ系の人々への人種差別が大々的に行われていました。そしていよいよ姉マルゴットに送られてきた呼び出し状がきっかけとなり、予てよりの隠れ家生活計画を前倒しにすることを余儀なくされます。呼び出し状に応じると云う事は、強制収容所に送致される脅威があったからです。慌ただしく荷造りを済まし、翌早朝に母と姉マルゴットを皮切りにフランク一家の引っ越しが始まります。そんな中にあってアンネは冷静に、隠れ家(父の会社:プリンセンプラハート)の生活スペースや部屋の様子について詳細に綴っています。未だこの時は隠棲の過酷さや、不自由、不安、恐怖等について想像もつかなかったことでしょう。会社の知人ミープさんの計らいで、何とか無事隠れ家へと到着しいよいよ隠れ家生活がスタートする事となります。
「アンネの日記」-1942年8月14日 金曜日「ファン・ダーン一家」につづく

あなたへの手紙―8

 人への不信、対人関係への不安を抱えるあなたにこの手紙を送ります。
人にはそれぞれ、比較出来ない個性が具わっています。
言い方を変えれば一つの事物を捉えるときに、様々な尺で推し量り、物事の規範に照らして識別します。
物事の規範とは人それぞれに違いがあります。
例えて云うならば、曇った鏡も光に照らす角度を変えると明鏡となります。
悩みや不安も又、客観的視点に角度を変えてみると、そのものの本性、本源が見えてきます。
又対人に置き換えてみると、人には善・悪では推し量れない様々な側面があります。
それを総じて個性と呼ぶならば、その人の個性は自分の視点、振る舞いによってさまざまなかたちに変化します。
即ち自分が変わればその人との関係も、今いる環境も変わってきます。
だとするならば、自分が真に心地良い関係、環境にしていくには、自分がどう変わっていくべきか。
例えば自分は、あの人に「愛されていない」のではないだろうか、そう思う事があった時に、自分はあの人を「愛している」かどうか自分に問いただしてみては如何でしょうか。
求める人から与える人に自分を転換していけば、自ずと自分の価値が分かってくるように思えます。
自分の中で価値創造しながら、自身を磨いていく作業がここで必要になります。
では、どのように磨いていくのでしょうか。
自分の誠実な側面を規範に、自問し様々な問題に対し常に前向きに、卑下することなく一つ一つ地道に答えを出して行かれては如何でしょう。
一つ一つ自分の規範に照らし合わせる作業は、様々な問題を整理・整頓していく上で、早道であり、確実な方法で、単純明快な解決法です。
物事を難しく考えすぎず、時には楽観主義である事も大切です。
最後に、人に不満が出た時は、私と共に自問してみましょう。
答えはあなたが握っているものなので、私には答えを出して差し上げる事は出来ませんが、私の意見が起爆剤となる事を祈ります。
                                                                                                                                                        かしこ

心どこかに-11日目

 今宵も夜が耽って参りました
今日もウィスキーグラスを片手に
アンネの日記「隠れ家生活」について思いを巡らせて参りましょう
1942年7月8日 水曜日
いよいよ安穏な生活もここまでとなります
と云うのも、父オットーに呼び出し状が届いたからです
呼び出し状が届くと云う事は、強制収容所行きを意味するものでした
その知らせを受けて、予てより計画していた逃亡生活が現実のものとなったのです
俄かに騒めき立つ家内にアンネの心は不安で一杯になります
アンネはこの日、更なるショックを受けます
それは、呼び出し状の宛先が実は姉マルゴットに宛てられたものだと
姉マルゴットから告白されたからです
姉はまだ16歳、こんな若い娘を一人本当に連れていくというのか
この時のアンネの胸中は、到底穏やかではいられませんでした
そしてアンネには未だ隠れ家の存在、 逃亡計画の内容が伝わっていなかったため
色々と思いを巡らしては不安に駆り立てられたのです
家内での引っ越し作業はその日の深夜まで続けられます
何を持ち出せば良いのか思案している暇もなく夜は耽って行きます
くたくたに、くたびれはてたアンネが床に就いたのは
深夜11時半を回ったころ 朝5時半に母エーディトに起こされ
いよいよ出発の準備に取り掛かります
必要なものだけを準備し7時半には家を出て
隠れ家へと向かいます
この時あんねはこう日記に綴っております
「私はただ、ここを逃れて、安全なところへいきたい
-望むのはそれだけです」
次回はいよいよ隠れ家での新しい生活について思いを巡らせていきたいとおもいます
See you next time!!